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   ペイオフとは

 ペイオフ「Pay Off」とは、もともと「すべてを清算する」が本来的原義であり、これが「その結果を出す」→「損得の度合いを判明させる」の意味に解釈されて、経済学のゲーム理論用語として定着することになりました。各プレーヤーが戦略をもって競合し、その結果をどう得られるか(ペイオフ)が議論されています。

 こうした用語を有する金融政策上のペイオフ(禁止)制度とは、簡単に言えば、どのような結果になっても預金者の資産は保護されねばならない、損得がついてはならない、という大義が込められています。具体的には、地域的な不平等性、預金先機関の体力格差、取引先金融機関の内部情報に精通しているか否かの非対象性といった各種条件に対し、その結果生じ得るあらゆる損得に、国家あるいは第三者機関が保証して平等性を担保することが推進されてきました。

 米国では1930年代の金融恐慌後に導入され、カナダ、西独、英国等でも採用されました。日本では、1971年より開始されています。

 しかし、こうした国家的保証は金融界に慢心と腐敗を蔓延させ、市場経済システムに円滑さが失われるようになりました。こうした中、英国のサッチャー首相による金融ビックバン政策を手始めに、米国でも金融自由化が推し進められました。これまで横並びのサービスを提供するだけでよかった金融機関は相互に競争を余儀なくされ、銀行の倒産や吸収合併が加速されることとなりました。同時に、預金者側も銀行選択が自己責任とされ、国家的な結果平等性の完全保証は放棄されることとなったわけです。これが「ペイオフ解禁」です。

 日本でも、1998年より始まった金融ビックバンで同業界への護送船団方式は終止符を打たれ、金融再編が始まりました。7年近い歳月をかけて、預金者の完全保護が解かれました(一部除く)。いわゆる、「2005年4月、ペイオフ全面解禁」です。

 ペイオフ解禁により、まさに預金者らはゲーム理論の渦中に放り込まれた格好となっています。結果的利得(ペイオフ)の獲得競争時代が幕開けされたわけです。金融機関選び、金融商品選び、資産保全方法選び、すべてにおいて結果は、個人の力量に委ねられました。

 当然、こうした状況下、資産運用と管理を他人任せにせず、自分でどこまで対応できるか、は大きな結果となって現れてくるはずです。まず、その前提として知っておくべきペイオフ解禁に伴う制度用件や基本知識について、本項では触れてみようと思います。



   2005年4月以降の預金保護 情報

預金口座、金融商品 リスト 預金保険の適用有無
普通預金(無利子型・決済用)
当座預金
全額保護(恒久措置)
普通預金(有利子型)
定期預金
定期積金
貯蓄預金
掛金
元本保証型の金銭信託(ビック)
                    など
一金融機関あたり、各種口座類を合算した上で、
元本 1000万円とその利息分のみ保証。

これに、各金融機関の資産処分により発生した
分配金が付加される場合あり。
       (超過資産分の0~100%)
外貨預金
オフショア・アカウント預金(海外口座)
元本非保証型の投資信託商品
他人名義・架空名義口座
譲渡性預金
                    など
保護対象外

※上記の各種口座に関しても、政府系金融機関、国内金融機関の海外支店、外国銀行の在日
  支店等での預金口座類は、預金保護の対象外となっております。

※銀行で購入し保護預りをした投資信託や公社債(国債)、株式などは取次ぎをしているだけで
  すので預金保険の対象外となり保護はされません。


   ペイオフ解禁の影響とは

 日本の金融資産は現在、約 1,411兆円あります。その内訳としては、約 55%の 777兆円が現預金、約13.1%が株式・債権や投資信託といったリスク商品となっています。この現預金のうち、6.0%弱が 1,000万円以上の預金口座となっており、国民全体に与えるダメージは小さいと言えます。

 しかし、直接的には影響が少ないとしても、間接的な変化は誰しも有します。それは、金融機関が破綻する際、確かに 1,000万円とその利息までは返金されますが、すぐには引き出せません。資産は一旦、すべて凍結されます。 この間の生活費用や緊急の出費に対しては、下の表にあるように60万円までの仮払い制度がありますが、これ以上は、準備してくれません。このため、ご資産を分割管理され、一つが凍結や消滅しても、別のところに蓄えを保管しておくことが重要となって参ります。

 「一つの籠に盛ったタマゴは、籠がひっくりかえると全部ダメになります」。



   金融機関破綻時の預金払戻手順

払戻手順 概要
1, 預金者本人の預金
  資産査定

  「名寄せ」作業など

2, 順次、払い戻し。


3, 破綻金融機関の資産
  査定と余剰金支払い


一預金者が複数の口座を破綻金融機関に有していた場合、これを同一名義の一個人とみなすため、全預金額を査定されます。この際、本人確認による住所や生年月日、電話番号などで不備があった場合、査定に時間がかかります。


ただし、「名寄せ」作業が難航するなど、資産査定が長期化する場合、「仮払い」制度により、預金者は一普通口座あたり 60万円まで先に払い戻しを受けることができます。

破綻した金融機関の保有資産等が査定された後、そこで捻出された資金が預金者に分配されていく。数ヶ月から数年かかる予定。
            (基本的にない、と考えてよいでしょう。)



   ペイオフ対策の基本

   1, ご自身の全資産の正確な把握 (契約中の保険内容、預金の満期日 など)
   2, 預金先金融機関の情報 (各付け、財務諸表、株価などチェック)
   3, 資産の分割管理 (国内・国外問わず)        
   4, 「守り」と「攻め」の資産運用 (元本確保用の資産と利殖ねらいの資産戦略)
                                               

 




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